法律改正で現場作業にも資格・免許が必要!有資格時代へ

近年の日本では、資格社会といわれ、資格取得ブームが到来。
今や、何をするにも有資格者が重宝される時代になっている。
これは職人の世界でも変わりはなく、
資格や免許がモノを言わす時代、『有資格時代』に突入している。

建設現場では、
『危険が伴う作業には有資格者を従事させなければならない』
と、このように法律で定められており、今や資格は欠かせない存在になっている。

その資格には、国家試験がある「免許」から、
講習を受けるだけで取得できる「技能講習」「特別教育」などの種類があり、
高度な作業をする為に必要となるものは、国家資格の扱いにもなっている。

資格の効力の強さとしては

免許 > 技能講習 > 特別講習 > 安全衛生教育

という順に表され、左側(免許側)に進むつれて、
資格の効力も強くなり、取得の難易度も高い。
そして、より高度な作業に就く事ができる。

具体的な例をあげよう。
例えば、「移動式クレーン運転士」だと、

  • 免許   ⇒ 5トン以上
  • 技能講習 ⇒ 1トン以上5トン未満
  • 特別教育 ⇒ 0.5トン以上1トン未満

このように資格の種類によって、作業に制限がある。

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鳶工『三種の神器』玉掛け・足場・鉄骨

まずはとび職にとって三種の神器とも言われている資格、
『玉掛け』『足場』『鉄骨』から解説しよう。

これらの資格をもっていなければ、どれだけ腕があっても、
素人扱いされ、足元を見られてしまう可能性がある。
それほどに、必要最低限もっておくべき資格だ。

玉掛け技能講習、玉掛け特別教育

鳶の仕事に就いて、まず最初に取る資格であり、
最も重要で、必要となる資格はこの『玉掛け』。

この玉掛けというのは、
クレーン等で荷を吊る時に、ワイヤーロープなどを吊り荷に掛ける作業を「玉掛け」、
これを外すときを「玉外し」と言い、この一連の作業には「玉掛け」の資格が必要となる。

足場、鉄骨、橋梁、機械、重量など、鳶の作業には様々な種類があるが、
いかなる鳶の仕事でも、この玉掛作業が出来ない事にはまったく話にならない。
それほどに、『玉掛け』は鳶職にとって重要な資格である。

そして、玉掛け作業には、人の命がかかっている。

玉掛け

資格の種類は技能講習と特別教育の二種類があり、
技能講習は1トン以上、特別教育は1トン未満と定められている。

この制定されている重さは、吊り荷の重さではなく、
クレーン等の能力のことを差している。
実質、1トン未満のクレーンは少なく、玉掛けの資格と言えば、
技能講習を修了した有資格者のことを言う。

クレーン作業では、玉掛け者とクレーンへの合図者を選任するのだが、
建設現場では玉掛け者合図者と一括りになっている。
合図者は無資格でもできることになっているが、
鳶の作業では、玉掛けと合図がセットの作業が多いので、
この玉掛け者と合図者を兼任することが多い。

さらに能力向上教育といった再教育を五年毎に受講することが推奨されています。

足場の組立て等作業主任者技能講習

玉掛けの次に取得するのは、この「足場の免許」と言われる資格。
取得には足場作業の経験が3年以上必要となる。

吊り足場や、張出し足場、又は高さが5メートル以上の足場の組み立て解体、変更の作業には
足場の免許の有資格者を配置することが法律で義務づけられている。

足場鳶

足場の資格も玉掛け同様に、能力向上教育の再教育の受講を指導されています。

2015年7月からは法改正があり、足場組み立て解体、又は変更の作業に関する業務には
特別教育を受ける事が義務づけされます。

建築物等の鉄骨組立て等作業主任者技能講習

玉掛けに続き、鉄骨建方に絶対不可欠な資格の一つ。
取得には鉄骨に関する作業の経験が3年以上必要となる。

高さが5m以上ある、建築物の鉄骨、鉄塔の組立解体、変更の作業には
鉄骨組立て等作業主任者の有資格者を配置しなければならない。

鉄骨鳶

国に認められた鳶『とび技能士』免許(国家試験)

都道府県知事が実施している、技能検定。
この資格を取得することによって

『国に認められた、とび職人』になれるのだ。

そして、とびの親方として独立する為には、『とび一級技能士』が必要となる。

試験の概要は、実地作業試験と、学科試験があり、
一級、二級、三級と区分されている。
それぞれの等級によって実施作業内容の難易度が異なる。

一級とび技能士・試験概要

一級とび技能実地作業試験

  • 丸太か鋼管パイプで、制限時間内に合掌小屋の組立。
  • そりにのせた重量物の運搬作業を行う。
  • 3種類の重量物の目測。

試験時間は丸太が2時間15分、鋼管パイプは2時間5分。
合格基準は60点以上。

学科試験の概要

  • 真偽法(○×問題)が25問
  • 四肢択一法(4択問題)が25問の計50問
  • 試験時間は1時間40分。
  • 65点以上が合格ラインで、33問正解すれば合格となる。

受験資格は
実務経験が7年。
2級技能士取得後、実務経験2年。

二級とび技能士・試験概要

  • 丸太か鋼管パイプで、制限時間内に片屋根小屋の組立。
  • 3種類の重量物の目測。

受験資格は実務経験が2年。

三級とび技能士・試験概要

  • 枠、単管、木製足場板を使用し、制限時間内に登り桟橋(スロープ)の組立。

とび技能士の試験期間と合格発表について

受験申し込みは4月、実地試験は7月、学科試験は9月
そして、合格発表が10月頃となっています。

※日程は年度によって前後します。

技能試験に関するお問い合わせは
中央職業能力開発協会まで

技能試験の実地と学科の難易度について

実地試験の課題である『合掌小屋』の組み立ては、
実はそんなにむつかしいものではありません。
試験当日までに期間もあるので、現場で何度か練習をすれば、
時間内に組み上げる事ができます。

では、どこに魔物が潜んでいるのでしょうか。
最も重要視しなければならない一番の課題、それは『体力』
試験を経験した誰もが口を揃えて言うのが『暑くてキツイ』です。
東京を例にだしますと、7月の気温は軽く30度を超えてくる暑さが続きます。

実地試験は7月中旬に行われます。もちろん、室内ではありません。
屋外の炎天下の中、120分もの間、ぶっ通しで合掌小屋を組む事になります。

実地試験を終えると、次に待っているのは学科試験です。
従来の作業主任者講習のようにはいきません。

なんと言っても、国家試験。

その試験内容は「とび」に関する事でなく、建築全般についても出題されるので、
独学で勉強するなら、相当な気合いをいれて望まなければ合格は難しいのではと思われます。

各地の実施する団体等が、学科試験の講習を有料でやっているので
それらに申し込むことをお勧めします。

とび一級学科試験過去問題集


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