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工事現場の基礎知識

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ゴト着

ゴト着・・・・・職を極めた者の風貌を作業服、鳶服とは言わす、我晴れはゴト着と呼んでいる。
それは職人にとって、もっとも憧れの服装である。

一般の方々には現場の人の格好はみんな同じに見えるだろう。
しかし!それは大きな間違い。
その職種によって、作業服の形をはじめとし、
色や着こなし方が異なるのだ。
ここでは鳶の服装をしっかりと学んでもらおうと思う。

鳶の風貌はこうだ!
地下足袋を履き、足首まで隠れるダボダボのズボン、手甲シャツ、
手首には手甲を巻き、首筋はエリを立て、全身に油の汚れがついている。
関東と関西で好まれる銘柄や形、色も異なるが、
鳶のズボンといえば白か濃紺。
生地はサージ。

しかし、経験が浅いうちは、赤や紫などのハデな色を好む職人の姿も。
それも若気の至りか。
経験を積むにつれ、一流の仕事をする先輩の姿を目の当たりにし、
意識とともに、服装にも変化と成長が起こるのだ。

認めたくないものだな。。。自分自身の若さ故の過ちというものを。

このようにして、職を極めれば極めるほど、濃紺を好むようになり

仕事に対する意識の変化と共に、

作業着をも立派に着こなしてこそ、

初めて一流の職人となれる。


七部


上記の姿は2000年前後に現場で見られた職人の姿である。
時代が変わると当然、職人の姿も変わっていく。
2012年、現在ではさらに安全に対しての意識が更に高まり、
職人達の姿も大きく変わってきている。
ここからは、少し細かく説明していこう。


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■地下足袋について

大手ゼネコン建築会社では地下足袋は禁止になり、
指先に鉄板などが入っている安全靴が主流になっている。
足先に重い物を落として怪我をしないようにだ。
しかし鳶職人にとってはこの対策が安全だとはいいきれない部分もある。
常に高いところで仕事をこなす鳶。
足元は悪く、さらに狭い。
安全靴だと、重く指先に力が入らずバランスがとりにくい。
中には高所用とうたわれる軽い安全靴もあるらしいが、
それでも地下足袋ほど、しっくりとはこない。

一方、地下足袋ではこうだ。
足先が分かれていて高所の端部に立ったときに、
足の裏、指先でどのくらい足場が在るかを感覚でわかる。
さらには足の裏で手のひらと同じように鉄骨をつかむ。
鳶職人は足の裏にも目がついてるのだ。
我々、鳶職人にとって地下足袋はなくてはならない存在である。

しかし、時代の変化、状況にあわせ、
素早く対応できるかどうかが職人の腕を問われるところだ。
最近の最も流行は 安全スニーカーである。
アシックスなどの一流スポーツメーカーが参入。
一見、普通の運動靴に見えるが、実は先端に固いプレートが入っている。
そして、軽い。

鳶服
ニッカ
しちぶ
1980
2000
now


■ダボダボズボンについて

我々職人はダボダボズボンのことを七分(しちぶ)やニッカポッカと呼んでいる。
ニッカポッカ(knicker bockers)は膝下でくくる、ゆったりとしたズボンという意味。
七分の由来はズボンの長さが七分丈と言うところからである。
ここからは職人らしく「七分」と呼ぶことにする。
実は、この七分のダボダボ部分だが、
危険を回避する為の機能が隠されているのだ。

その隠された機能はいくつかある。
鳶の作業は足を高く上げて作業する事が多いので、
腿が太くないと足がスムーズに上がらない。
膝を曲げたりするのに服が邪魔にならない。
つっかえない。というのが一番の理由。

次にあげられる機能はセンサー。
鉄骨建方などの高所作業中に柱や梁の取り合い部分の出っ張りやとがったものに、
ズボンが先に触れることで足元に対する意識が高まり、怪我を回避することができる。
そして、これだけではない。

次の機能は風力計。
高いところでの作業で最も恐ろしいのが強風。
クレーンを使って鉄骨などを組み立てている時は特に要注意。
吊り荷が風にあおられて回転したり、取り付けの際に作業員が吹っ飛ばされることもあるのだ。
当然、風が強いと七分がバタバタとなびく。
それを見て、地走り、下まわりの職人が風の強さを把握し、
安全な玉掛け作業をこなすことができる。
七分のダボダボが風力計の役目をこなすのである。

このように機能性を重視して完成されたのが七分なのである。
実はこのズボンの形、元々は軍服だったようだ。
軍服ズボンは腿が広く動きやすいなど機能的にも優れていたため、
これをもとに進化させたのが現在の七分と言う説も一理ある。

そして、この七分、一流の職人は仕立てを好み、
オーダーメイドや電話注文が普通。
近所のワークマンなどで量産メーカーの作業着を買うことはまずない。

東京は種田。
その知名度は全国区。
もはや一流ブランドとして確立されている。
特徴としては股下部分が長め。
続いて、豊多屋、千曲屋、が主流。
関東圏では、備前屋、小美屋、愛宕屋などもよく見られる。

一方、大阪では丸源が圧倒的支持を受けている。
職人の街、西成に店舗を構え、
大阪の建築文化を鳶と共に支えてきた老舗だ。
関西圏ではカセヤマというメーカーもよく目にする。
カセヤマに関しては作業着専門の量産メーカーだが、
人気があり、鳶以外の職人達からも支持が高い。

そして、東京と大阪ではその特徴も異なる。
東京では、裾は短めで全体的にスマートなフォルムが特徴。
大阪では、地面に裾がするほどに長く、全体的に太い。
関東では、太くて長い七分のことを
関西七分と呼んでいた時代も。

このようにして、時代の流れとともに進化し、
伝統を守ってきた職人の証である七分だが
今日では、安全対策の対象となってきている。
その機能性をまったく顧みず、
見た目だけの判断で引っかけたりして危ないと言う認識から
足下を絞って、短く履きなさいと言うのだ。
現場によっては、既に七分が禁止され、平ズボンを履いている職人もいると聞く。
もしかしたら近い将来、この七分が現場から消える日も
そう遠くはないのかもしれない。。。。


鳶職の服装


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